赤猫異聞

昨日は早朝の高速バスで東京へ行きました。
朝5時前に起きて、朝ごはんはお結びと昨日のおかずの残りをつめたお弁当。バスは歩いて3分のバス停から出ますから、片道3時間ですけれど苦にはなりません。その3時間はもっぱら読書タイムと心得て、先日そのつもりで買い込んだ文庫本を持ち込みました。375ページですから、往復6時間でちょうどいいはず〜ってワケです。
持ち込んだ文庫本は浅田次郎の「赤猫異聞」。浅田次郎の小説は、幕末物が私にとっては滅法面白い。壬生義士伝や一刀斎夢録などのように関係者からの聞き書きと言うスタイルをとっています。
「火勢が迫る伝馬町牢屋敷から解き放ちとなった曰くつきの重罪人―繁松・お仙・七之丞。鎮火までいっときの自由を得て、命がけの意趣返しに向かう三人。信じられない怪事が待ち受けているとは、知る由もなく。―幕末から明治へ。激変の時をいかに生きるかを問う、最新長編時代小説。」と、これが内容(「BOOK」データベースより)です。
まぁ、これからお読みになる方の興を削いでもしょうがありませんから、内容にはこれ以上は触れないことといたします。
行きがけに半分読んで、帰りのバスで残りの半分。丁度東名清水ICに差し掛かったあたりで終章のどんでんがえし。解き放ちになった3人を超えた主人公が最後の最後で姿を現します。不覚にも涙が出ちゃったよ…
私の父は明治25年の生まれ。バリバリの明治人で、私は父の56歳の頃のいわば「恥かきっ子」です。その父の書斎には「去私奉公」と黒々と書かれた扁額が掲げられており、その内容を問うと、「私」の利のために是非を取り違えるな、しかし「去私奉公」の「公」とはその時代の要求する「公」とはまた別物だよ、それも忘れるな。と口うるさく教えられ、おかげさまでまるで絶滅危惧種のような生き様を晒しているわけで。 (^^ゞ
でも、ありがたいことに私の周りは絶滅危惧種だらけではあるのですが…
そんな私にとって、まことに心地よい読書でありました。まぁ、絶滅危惧種に等しい方は、是非お読みくださいませ。
あの扁額、多分座敷の天袋に入れっぱなしだわ。出してみようかしら?