美しさ

やっと少し気温も下がって、このところクーラー漬けのせいか調子もあまり良くないので、一日、クーラーなしで汗をかくことにしました。幸い、予報どおり、家の中でも気温は32度台だったし、良く風も通っていましたから、梅干を入れたお茶を飲みながら、まぁまぁの一日で、ご注文品のお茶缶の仕事、ちょいと下焼きに手をつけたり。
ま、原始人の私は、どうもクーラーってのは苦手です。とはいえ、35度を超えるような気温じゃ、好きの嫌いのとは言っていられませんけどね…
夕べも涼しい風が吹き抜けていたせいでしょうか、10時前にぐっすり寝入ってしまったので今朝目覚めたのは5時前のまだ薄暗い時間で、TVをつけたらオリンピック中継をやっていました。
私は、オリンピックと言うのはどうも好きじゃない。メダル・メダルと連呼しているのを聞くと何となくいやな気がするのですよ。多分、私が子供の頃、東京オリンピックのマラソンで銅メダルを取って、次のメキシコオリンピックの開催年に遺書を残して自殺した円谷幸吉のことを思い出すからかもしれない。
「父上様母上様 三日とろろ美味しうございました。干し柿 もちも美味しうございました。」から始まり「幸吉は父母上様の側で暮しとうございました。」で終わる遺書は子供心にも鮮明に残っている… (あれは今読んで見るとつくづく名文だと思います。)
ま、それはともかく、一本に拘る日本の柔道はしみじみ美しいと思いました。それからチャンネルを回すと体操で。内村航平の鉄棒をやっていました。ウクライナの選手を追いかける立場で臨んだ鉄棒で、素晴らしい演技をみせていました。この人の精神力と集中力は一体どんななのだろう? 吸い付くような着地に見ほれてしまいましたよ。戦っている相手はウクライナの選手じゃない、自分自身以外の何者でもないのでしょうね。美しいものを見たとしみじみ思いましたっけ。
相手に勝つの負けるの、メダルを取るの逃がすのと、それはナショナリズムに駆られた見物人のものの見方。やっている本人はひたすら自分自身に真摯に挑んでこそ、美しいのではないのかしらね。