感情の抑制

以前にも書いたけれど、我が家の黒猫しょうちゃん、時々どういうわけか、頭に血が上ることがある。爪を立てての猫キック、ついでに噛みついたり。つまり、カーッとなると感情の抑制ができなくなることがあるわけだ。

ま、これはちゃんと教育して治してやらないといけないだろうと… 今までずいぶんたくさんの猫を飼ったし、どの猫も最初はそんなもんだったし、その都度「痛い!」とか、「いやよ!」とか、ちょっと大きめな声で叱ってやることを辛抱強く続けていると、割と早いうちにしなくなったものだ。つまり、人間の皮膚は猫のそれより柔くできているということを理解し始めるらしく、甘噛みするようになるわけだ。

ところが、しょうちゃん、図体がでかいからか、なかなかこの甘噛みが出来ない。というより、最初は甘噛みしているのだけれど、そのうちに興奮してくると抑制が効かなくなるみたいなのだ。ま、若いってことかもしれないけれど。かといって、そこでこっちが実力行使してたたいたりすると、火に油を注いで逆効果にもなりかねない。

いろいろ考えた結果、百均で、小さなスプレーボトルを購入、それに水を入れていつもポケットに入れておくようにした。強く噛んだり引っかいたりした瞬間に「いやよ!」と叫びつつ軽くシュッとひと吹き~。効果抜群である。それを2回やったら、「いやよ」と言いながらボトルを見せただけで止めるようになった。しめしめ~~ 勿論、甘噛みをした時には「いい子ねぇ~」と充分撫でてやるんだけどね。少しずつ教育の成果は出始めていると思う。

で、このところのニュース。最近、人間でも、感情の抑制がうまくできない人が増えているような気がしている。頭に血が上ると後先の見境がつかなくなる… つまり、自分の感情に振り回されて視野狭窄に陥っているということにも気が付かないって人が。困ったことである。自己抑制というのは人が持って生まれた特性というものでは決してないわけで、後天的に手に入れる理性なのだと思う。つまりは教育のたまものなのだろう。勿論、教育と言ってもそれは学校教育のことだけではない。それ以前の家庭教育、あるいは社会教育、ありとあらゆる環境からの学びであるはずだ。

その中から、人は他者に対する想像力や洞察力を身に着ける。そしてそのことがきちんと理性的に自己抑制ができることにつながるのだと思う。

なんて書いていたって、なかなかそれは難しいことなのだけれど。時々、子供のころ、親に言われたことを思い出す。

「英子、一旦口から出してしまった言葉はもう取り戻しがつかないものなのだから、言葉を発する前に、一度ちゃんと脳みそを経巡らせてから口に出しなさい。思いついただけで見境なくすぐ口から出すものではありません。」

人の行動についても、きっと同じなのだろう。一瞬立ち止まって、感情を鎮めて脳みそを経めぐらせてから行動したいものである。