本展の撤収作業

昨日は午後2時から4時まで、名古屋三越での会場当番、その後6時からは撤収作業でした。2時から始まった列品解説は硯作家の名倉鳳山先生が。途中、私の作品の前で突然にバトンタッチされて、自分の作品の解説をさせられて… やはり名古屋、七宝に興味をお持ちの方が結構いらっしゃって、皆さんから色々と細かい質問を受けました。
ウチの生徒さんのIさんも見に来られて、列品解説、随分刺激があったようでした。終わってから二人で抜け出して喫茶店でお茶して、彼女、今手がけ始めている作品の色調について、もう一度考え直してみますと熱く語っていましたっけ。これでまた、一皮剥けることになってくれれば、と思っています。やはり、作品を作ることにおいて、他者からの刺激は欠くことのできないものですから!
私が初めて東海伝統工芸展に作品を応募したのは34年前だったか… その時無事に入選して、勢い込んで母と二人で名古屋まで見に出かけました。会場で、私のだけみっともなくヘンだ… 帰りの新幹線の中で。母が言いましたっけ。「アンタのだけ、何だかおかしかったね、何で入選したんだろう?」
「お母さんもそう思った? 私もそう思ったの。」
その日の夜、当時審査員をしていらした早川義一先生からお電話をいただきました。「キミのは、丁寧に難しい部分から逃げずに銀線を立てていたから、そこを買って入選にしたけれど、色調は生すぎる。来年もあの調子で作っていたら今度は落とすよ。」
あ、そうだった、作品としてこなれていない、工芸としてどう取り組むか、そこが分かっていなかったんだ。それが私のだけヘンだったと言う印象を持った原因だ!
それが私の原点です。あの時の早川先生の言葉がなければ、ここまでやってこられたかどうか。年令が進むに連れて、なかなか厳しい批評をしてくださる方もいなくなり、自分の作品に対して厳しい批評を出来るのは自分自身だけになってしまうわけで、やはりその目は磨いておかないと、と、改めて早川先生への深い感謝と共に、思った一日でした。

昨日は午前10時に家を出て戻ってきたのは夜10時過ぎ。一日中お留守番だったマルは、かなり寂しい思いをしたようで、今朝はベタベタと私の膝に乗って、私の手にしがみついています… ま、今日は一日相手をしてやることになりそうです。(^^ゞ