「若い」と「美しい」ことの値打ちとは

麻生太郎氏の発言がまたまた物議をかもしているようです。

上川陽子外相に関して「おばさん」呼ばわりをしたとか、「決して美しい方とは言えない」とか。でもその麻生氏の発言はニュースで聞いたのですが結局のところ麻生氏は外相である上川氏の仕事ぶりを絶賛していたわけで、その流れの中での失言のようなものだったと記憶しています。

まぁ、一部を切り取ってしまえば明らかに女性蔑視と言えるのかもしれませんが、あの発言の全容を踏まえれば、私が上川氏だったら喜んじゃうかも~と思えるほどでしたよ。

だいたい、政治家にとって若いとか美しいとか、何の値打ちがあるのでしょう。若くて美しいからと政治家に担ぎ出されるタレントも多い時代ですけれど。やはり自分の仕事を他人から評価されるところにまで高めてこその人の値打ちなのだと思います。積み重ねた仕事や生き方の作り出す「顔」こそ美しいと言うに値するものなのだと思うのです。世阿弥の言を借りれば「時分の華」と「真の華」と言ったところでしょうか。

まぁ、今の時代では「若い」と「美しい」の値打ちは絶大なもので、TVを見ていれば皺を取るとか、シミが消える、若見えなどと言うコマーシャルが飛び交っているわけで、世の女性たちがこんなことに血道をあげているのかしら?と思うと何やら情けないし薄気味が悪い。

昔、私がまだ10代・20代だったころ、血道をあげていた実存主義シモーヌ・ド・ボーヴォアールが、「皺は人生を物語って美しいものよ。」と発言していたのを思い出したりしちゃいました。その頃の私は早く年齢を重ねたくてジタバタしていたものです。若いと言われることが、まるで知性のない「バカ」呼ばわりをされているようで…

 

最近、プライムビデオで良くイギリスやらヨーロッパ系のドラマを見ます。主人公は男も女も若くない。たいして美形でもない。けれど、深い人生経験を積んだという印象の知的な登場人物たちなのです。つまり、刑事ものなんかを見ていても、日本のドラマのように犯行現場にギンギンの化粧をしてハイヒールを履いて現れる女性刑事なんか出てこないわけで、こっちとしては安心してみていられる。

いつからでしょうね~日本では積み重ねた経験や知性の持つ「美しさ」が軽んじられ、チャラチャラとした「若く」て「きれいな」登場人物たちが、まるで学芸会のような演技を繰り広げるようになったのは?

ま、イギリスはシェークスピアの国。演技の文化の質は当然違い過ぎるわけだけれど。

とにかく今の日本文化は幼稚さの一途を辿っているような気がしています。シワだらけばぁさんのひがみかしら?? ^^);