おとむらい

夕べ、仕事が終わっての帰宅は多分9時半過ぎ。あと家まで15メートルくらいかなと思われる辺りの坂道の真ん中に黒猫が一匹、力なく横たわっているのがヘッドライトの明かりに照らし出された。
え、翔太なの?? ギョッとしてその付近に車を止めて外に出る。丁度大きさは翔太くらい。尻尾も長い。
慌てて走り寄って抱き上げると、もうすでに死んでいて、辺りは街灯もなくて真っ暗だし、翔太かどうかはよくわからないけれど手触りが少し違う。翔太よりはずっと毛の手触りが若いような気がする。
とりあえず膝に乗せたまま車を我が家へ入れて。玄関先にはマルが出迎えに来ているけれど、翔太はいない。何だかドキドキしてしまう・・・
猫を抱いたまま、リビングに走りこんでみると、翔太が電器座布団の上にのんびりと寝ているのが見えた! あー、翔太じゃなかった!!
明るい所で見ると、死んでいた黒猫はやっぱりまだ若い猫で、どうも車にはねられたらしく、口の辺りから少し血を流していた。かわいそうに、多分、今年生まれた若い野良猫だろう。この辺りには野良猫が多いから・・・
まァ、翔太ではなかったからといってそのままほうっても置けないし、これもご縁。夕べはそのまま段ボール箱に納めて、今朝、庭の片隅に穴を掘って埋めてやった。
少しだけ折って丈を詰めたお線香を供えて、次に生まれてくる時には用心深い飼い猫になりなさいよって。子供の頃に「動物のお弔いに供えるお線香は、人ではないという分をわきまえて少し丈を短く折ってそなえるものだ。」と親に教えられて、いまだにそんなことは体が覚えている・・・