枇杷とカラス

今日は朝からカラスの鳴き声が辺りに響き渡っている。いったんこの窓に向かい合ったみかん畑の端の大きな楠の枝に止まって、そこから鳴き声を響き渡らせながら羽を広げて舞い降りてくる。時々この窓のすぐ前を、大きく羽を広げて横切る姿が見える。
余りにカラスがうるさく鳴くので、地震でも起きるのかしら? とちょっと不安に感じたりもするくらいだ。
何の騒ぎよ? と覗いてみると、真下に見える農家の裏にある大きな枇杷の木に、20羽近くのカラスが群がっているのだ。あー今日は枇杷が食べごろになったんだわ。
その光景を写真に撮ろうとカメラを向けた途端に、その気配を感じ取ったのだろう、20羽ほどのカラスは一斉に飛び立って… 何羽かのカラスは、それでももぎ取った黄金色の枇杷をしっかりと嘴に挟んでいる。黒いカラスと黄金色の枇杷の実の対比はなかなかに美しい。
それにしても、ちょっと覗くだけですぐさまカラスたちは逃げていく。逃げていく先は、楠だったりウチの屋根だったり… どうもウチの屋根は「カラスのパーラー」への中継地点、お休み処になっているらしい。
結局、写真は撮れずじまいだったのだけれど、やはり野生とは敏感なものである。ま、カラスの楽しみを人間ふぜいが邪魔してはいけないということなのだろう。