ヤモリ

今朝は二度寝してしまったので、起き出したのは7時過ぎ。翔太とマルはすっかりお腹を空かせていて、足元をグルグルと回りながらにゃぁにゃぁと餌をねだるのに忙しい。
ハイハイ、遅くなってごめんね〜 ご飯にしようね、と話しかけながら餌をやる。と、テーブルの下に何かが落ちているのに気がついた。長さ3センチほど、幅は1センチくらいの濃いグレーの物体である。何が落ちているんだろう? と、顔を近づけてみると、なんとヤモリである。あらら、赤ちゃんヤモリだわ。きっと翔太かマルのどちらかが連れて来たに違いない。ピクとも動かないけれど死んでるのかしら? と触ってみる。動いた! 動き出せば結構素早い動きである。
おぉ〜生きてる。元気だわ。猫たちが餌に気をとられているうちに救出しなくっちゃ。で、掴み取ろうとするのだが、なにせ小さい。余り力を入れて掴むのも可哀相なほどの大きさである。だから紙の切れ端をそっと目の前に置いてやった。すると、体をくにゃくにゃと捻りながらゴソゴソと紙の上に乗っかった… しめた! それをそっと掌に移す。何やらふにゃふにゃと柔らかい手触りである。
さて、何処に逃がしてやろうか?
なるべく猫たちの目に留まらないところ、で、夜には虫が来て餌にありつけそうなところってどこよ? 考えた末に家の裏に面した浴室の窓の外側を選んだ。
パジャマのままで気が引けるけど、片手の中にはヤモリがいるし着替えることは出来ないわ、いいか〜きっと誰にも見つからないわよ、と勝手に決め込んで外に出る。掌の中ではヤモリがかすかにゴソゴソと動いている。で、浴室の出窓のサッシの上に移そうと掌を開いた。ところがヤモリはサッシの上ではなく私の腕をぺたぺたと歩き回る… 違うってば〜そっちへ移りなさいよ。
しばらくするとやっとサッシに乗り換えた。
さ、もう猫に捕まっちゃだめよ。たくさん食べて大きくおなり!
窓の外では数羽のアゲハチョウがひらひらと飛び交っていて、なんとなく今日もいいことがありそうな一日の始まりである。