アヤシイ電話

先月だったか、何やらアヤシイ電話がかかった。
こちらは銀座にある○○画廊の△△と申します。マ○○書房出版の七宝の本に出ている先生のお作品が素晴らしく…」と、若い男性の声が歯の浮くようなお世辞を滔滔とまくし立てる。私は、はい、とか、ありがとうございますとか言葉を挟むのが精一杯で、20分ほど経っても何の用なのかはさっぱりわからない。たまりかねて、「ご用件は何でしょうか?」と聞くと、来年に開催される展覧会に作品を出せという。
ミネルバと言うプロジェクトがありまして、現在活躍中の女性作家の応援をしています。来年は原爆図で有名な丸木俊先生の生誕100年で、それを記念して丸木俊展を開催するのですが、合わせてその会場で女流作家の作品も展示する予定でして… 会場ではブライダルデザインで有名な桂由美先生をお招きして講演会も予定しており…」
このあたりで、こりゃ完全にアヤシイ! 多分アホな工芸家を持ち上げての出品料稼ぎだな、と見当をつける。相手をするのも疲れるから手っ取り早く終わりにしようと思うのだが、敵もさるもの、立て板に水でなかなか口を挟む隙を与えない。
で、失礼ながら、話の途中で強引に口を挟むことにする。
「わかりました。そういう展覧会でしたら応募要項のようなものがあるでしょうから、お送りいただければ検討させていただきます。それと一緒に、差し支えのない範囲で結構ですから、出品される作家さんにどのような方がいらっしゃるのかも教えてください。で、出品料もどうなるのかもね。」
「出品されるほかの作家さんにつきましては個人情報ですのでお答えできませんが、出品料につきましては、同時に立派な本も作りますので30万円です。」
思わず、ぎゃはははと笑ってしまった〜
「あなた、そりゃ私みたいな貧乏作家にお声をかけても始まりませんよ〜〜それだけのお金があれば作品につぎ込むわ〜無理、無理〜〜」
で、その話はそれで終わった。勿論その後出品要綱が届く気配はない。
そうしたら、本日の夕方、今度は女性の声で電話がかかった。
こちらは世界○○社と申しまして銀座に○○画廊を開いております△△と申します。マ○○書房出版の七宝の本に出ている先生のお作品が素晴らしく…」
どこかで聞いたセリフである…??
「はい、ご用件は何でしょう?」
「このたび、ポール・ゴーギャンの生誕…年の記念に展覧会を… タヒチの大統領もご参加くださり…」
ぎょえ〜〜今度は大統領って…タヒチってまだ仏領じゃなかったっけ?? いつ独立したの? 大統領がいるの? 
毎回毎回、自ら声高に貧乏作家を名乗るのもばかばかしいから、ただ今お客さんが見えていますので、お話を伺っているわけには参りません。出品要綱などをお送りいただければ検討いたします。と嘘を言い電話を切った。
何でポール・ゴーギャンと伝統工芸が結びつくのか、さっぱりわからん。これもやっぱり出品料稼ぎで30万円の口かも? と、ちょっと先日の電話との共通点を感じて「世界○○社」を検索してみた。ヒットしたページを見ると確かにタヒチで何かはやっているらしい。まァ、まるまる嘘ってことではなさそうだと思ってみていると、中にミネルバプロジェクトと言うページもあり… げ、この間の電話と同じところなんだ??
くわばら、くわばら。世の中不景気が続くと、こんな商売も出てくるのだろう。本当にうかうかボケちゃいられないわ〜〜〜
二度あることは三度あるって言うし、また次に誰かの生誕○○年でって電話が来るのかしらん?? このクソ暑いのに、ご苦労なこった…