ポエム?

しばらく前からずっと気になっていたことがある。巷に妙に「優しい言葉」が氾濫しているのだ。「全ては仲間のために」「全てはお客様のために」「みんなハッピー」・・・
で、今夜のNHKクローズアップ現代「あふれるポエム? 不透明な社会を覆うやさしいコトバ」を観たときに、あ〜私の感じる薄気味の悪さの正体はこれだ! と思いいたったわけだ。
巷に溢れる「相田みつを的なコトバ」の群れ。それを称して「ポエム」というのだそうだ。そもそも昔から私は相田みつをが大嫌いだった。ごもっともなお言葉ですけれど、そういうことって、密かに独り胸の中でつぶやくべき言葉であって、公衆の面前でそんなことを言うなんて、鉄面皮ってもんじゃぁござんせんか? はずかし・・・ と思うわけだ。(相田みつをファンのかた、ごめんなさい!)
でも、クローズアップ現代に寄れば、そういう言葉が、今、若者たちに指示されているのだという。
抽象的な言葉は、あるいは説明の放棄、あるいは何かしらの隠蔽とも言えるだろう。私はへそ曲がりだからそんな風に感じてしまうのだ。「人」ってそんなに一筋縄でいくもんじゃないでしょう? と。 
年収200万時代の低収入の若者層に、厳しい現実を生き抜くために現状を肯定しようとする傾向があり、そこに根っこがあるという。居酒屋甲子園というイベントがあるのだそうだ。そこで若者たちが、いかにその仕事に「やりがい」を見つけたのかを熱狂的に絶叫している・・・ しかも、涙ながらに、である。
「いきがい」というコトバで踊らされてつけこまれて搾取されてるってことじゃないの? もっと冷静になりなさいよ、もっときちんと辺りを見なさいよなどと思わずつぶやいてしまったりする。そんなに熱狂的に人の善意や自分の感情を信じてしまうって、ある意味、怖いよ、と。雪崩をうつ羊の群れになっちまうじゃないの・・・
やっぱり、どこかヘンだよ。時代が病んでいるってことかもしれないけれど。私には、どうにも薄気味の悪いことに思えてならない。