巣立ちの季節

そろそろスズメたちは巣立ちの季節を迎えているらしい。
今朝、珍しく、翔太がスズメを咥えてきた。ありったけ狩のヘタクソな翔太に捕まるのだから、随分粗忽なスズメである。多分、巣立ったばかりなのだろう。
咥えられたスズメは咥えられたままキョロキョロしているから、ほとんど無傷なようだった。爺さん猫の翔太は、犬歯が一本抜けてしまって無いのだ。
ね、翔太、それ、頂戴よ。ホラ、おいしいご飯をあげるから。
大好きな缶詰を開けてやると、スズメを咥えたままチラリと缶詰の入った皿の方を見る。小さな脳みそで缶詰とスズメとどっちを取るべきか、悩んでいるらしい。結局のところ、ご飯に気を取られて口が緩んだらしく、スズメはバタバタと逃げ出した。
で、追いかけっこが始まる。スズメは必死に飛びまわり、翔太はそれを追いかけて、普段は決して乗らないテーブルの上に飛び上がり、おいてあるティッシュケースを蹴散らし、戸棚の上に飛び上がりお菓子の缶をひっくり返す・・・もう惨憺たる有様だ・・・
私は私で、スズメの逃げ道を確保すべく部屋中の窓を開け放して。
しばらくその騒ぎが続いた後、やっとスズメは窓から逃げていった。翔太は窓辺で飛び去るその姿を未練がましく眺めていたが、しばらくすると諦めたらしく今度はおもむろに皿に取り付いてただ今は食事中。
最近、マルの方はほとんど家で食事をしない。体調が悪いのかしら、と心配していたが、別段痩せるわけでもなく元気一杯。で、思い至った。狩がとても上手なマルは、多分、最近外食ばかりしているのだろう・・・と。そりゃ、缶詰よりも新鮮なスズメの刺身だよな・・・