タイガーマスク

昨年のクリスマスに、群馬でタイガーマスクを名乗る人からのランドセルのプレゼントが養護施設に置かれていたことから端を発した「タイガーマスク運動」が瞬く間に全国を席巻している。今日現在で全国すべての都道府県で320件を超えているそうだ。
主流はランドセルだが、文房具やお米、野菜、果物、おもちゃと、内容にもそれぞれのタイガーマスク氏の思い入れや懐具合が反映しはじめているようだ。慢性的な財政難にある養護施設としてはとてもありがたい話だろうし、恵まれない他者に心を寄せることはとてもいいことだと思う反面、この怒涛の広がりにはちょっと薄気味悪い思いを抱いている部分もある。つまりはかつての小泉政権の支持率が90%を超えたという報道に接した時に感じた薄気味悪さと共通した感覚である。
このへそ曲がりが! 素直に感心しろよ!とお叱りの向きも多いのだろうが、私としては皮膚感覚としての気味悪さを拭いきれないのだ。いったいこの騒ぎは、いつ、どのような形で終息するのだろう? もっと地道で自然な寄付行為が定着するための基礎となりうるのだろうか?
「はやりもの」は「すたりもの」ということもある。はやりすたりのサイクルが極めて早い今の日本を考えると、期待させておいて、いともあっさりと切り捨て忘れ去るという残酷さを知らしめることのないように、と祈るばかりである。