文楽の補助金

先日、新聞で読んだのだけれど、橋下徹大阪市長が「自助努力が足りない」「特権意識の集団」などとの批判の上で文楽に対する補助金を25%カットする方針を打ち出したのだそうだ。
「観客重視の姿勢が弱いからファンが増えない」と手厳しく批判をしているらしい。ここでも経済の論理が優先されるわけだ。
しかしねぇ、日本の教育は明治維新以来ほとんど西洋重視、文楽義太夫との、子供の頃からの「なじみ」は全くないわけで、ストリートダンスは義務教育に取り上げられても日本の伝統文化は全く取り上げられていないのが現状。これで自助努力といわれたってねぇ・・・
私が文楽に熱中していたのは中学生の頃。その頃は年に一度位、今はもう取り壊された「静岡市公会堂」で文楽の地方公演があり、最晩年の桐竹紋十郎の遣う人形を見ていたわけで、震えが来るほど美しいものを観たという記憶がある。「日高川」や「曽根崎心中」・・・
今でも静岡市のグランシップでは文楽の地方公演があり、去年だったかしら、観に行った。今では地方公演に第一線の方々がやってくることはなく、若手中心。
まァ、確かに「華」のあるスターがいないというのも確かなのだろうけれど、そもそも文化などというものは効率の悪いものなのだ。その効率の悪さを黙認できることそのものが文化を育むのだろうと思っているのだけれど、文化じゃ腹はいっぱいにはならねぇ、といわれればそれまでのことではある。しかし、文化を失うということはその国の精神的な貧しさ、いじましさに通じると思うのだけれど・・・

まぁ、日本人そのものもその根底から変化してきたような昨今、滅びるべきものは滅びるしかないのかもしれませんけどねぇ。