小倉遊亀展

今日は、ご招待券をいただいていたので、昼から「小倉遊亀展」を観に、三島市の佐野美術館まで行ってきました。
行きがけにちょっと足を伸ばして、三島の谷田にある「砂場」でお蕎麦を食べて。久しぶりに美味しゅうございました。 (^^ゞ
日曜日ですし、「小倉先生とご一緒の日々」と言う講演会もあったためか、佐野美術館は結構な入りでした。
展覧会場の順路がいつもとは逆でしたので、少々途惑いながら会場に入り。最初の部屋の展示は花や野菜、果物などの静物画でした。これは正直な所、余り好きではありません。何やら物理的な重量感があって、ずしりと重たそうな椿… うーん、ちょっとこの重さはねぇ… なんて。
次に展示されていた「首夏」 童女が二人、クレヨンで無心に野に咲く花をスケッチしている絵でした。何やら夢中になって、屈み込んで絵を描くことに熱中している二人の少女。これはいいなぁ…
そして「径」 母親と思しき女性の後ろから、黄色い日傘を差して歩いている少女、さらにその後ろには、少女の背中のボタンに鼻をくっつけんばかりに歩む犬。母親の腕にかけられた籠に、無造作に投げ込まれた野の花。無心にその後ろを歩む少女の日傘の柄に下げられた赤い布袋の鮮やかさ。さりげない、揺るぎない、言葉の要らない信頼感に満ちた日常。何やら鼻の奥がツンとするような懐かしい情景を切り取って。
でも一番好きだったのは「青巒」と言う作品でした。小倉遊亀が81歳の時の作品で、畳1畳ほどの大きな縦長の画面の上に真っ青な夏富士が屹立し、その裾にある金箔を貼られた部分には、群れをなして移動する牝牛の群れ。朝霧高原で描いたものだそうです。何やらわけもなく心引かれる絵でした。しばらくその前で足を留めて。
思い出せば、以前に秋野不矩美術館で見た「渡河」
これはクリシュナ河を渡る水牛の群れ。この絵にもとても心引かれたものです。そんなことがわけもなく思い出されました。
美術展に行ったときに、たった一枚でも心引かれ、足を留めて見入る作品に出会えることは、とても幸せなことです。今日は改めてそのことを思いました。