ピクニック

昼食をとってからヒメをいつもの山に連れて行った。いつもの丘陵地は風が強くて、吹き飛ばされそうで、早々に切り上げて帰ってきたら、いつも通り道にしている空き地の真ん中で、レジャーシートを広げたご家族が昼食中だった。両親と小学生らしき男の子と女の子の4人。辺りには名前も分からない雑草の群落が一面黄色い花を咲かせている。

あまりじろじろ見るのは憚られるので、軽く頭を下げて、そのついでにチラ見したのだけれど、お結びや卵焼き、から揚げと手作り弁当のようで、そうよね、コロナウィルスのせいで混雑するファミレスは避けて、手作り弁当でピクニックかぁ! なかなかいい風景である。こういう楽しみに目を向けるのは、ひょっとしてコロナウィルスの効用かもね? ディズニーランドばかりが楽しみじゃない、一家団欒のほほえましい風景である。

ビビリのヒメは、ちょっと離れたところで興味津々でご家族を眺めていて、男の子が「あ、猫ちゃんだ!」と言ったとたん、慌てて藪の中に逃げ込んだ。

昔はこんなだったなぁ。出かけるとなると母はお弁当作りに忙しかったっけ。うん、昔々の昭和のお話である。

浮かれ歩くばかりじゃない楽しみ方を見つけるってのもいいもんだ、などと独り言ちながら、ちっとも藪から出てこないヒメは後から迎えに来るとして、さて、帰ろう。